マリアちゃんと鬼ごっこ
「そうだ。これ村瀬にやろうか?」
どういう風の吹き回しなのか、瀧川は有野の手から果物ナイフを取って俺に差し出してきた。
「いらねーよ。ナイフなんて」
「ナイフ、なんて? お前武器もなくてどうやって殺人鬼と戦うわけ? そんな甘い考えだから根本たちが死んだんじゃねーのか?」
「なんでそれを……」
「俺たちは役割を決めてんだよ。有野は武器&食料調達係。高橋はスマホでそれぞれの行動を報告する係。んで、俺はマリアが来たら殺す係」
そう言って瀧川は自慢するように服の下に着てるジャケットを見せてきた。
そこには大小のポケットがたくさんついていて、武器になりそうなものはすべて身に付けているそうだ。
「高橋がずっと見てたから知ってるぜ。昨日からずっとここに隠れてるやつもいるだろ?」
瀧川の視線が児玉と清水に向いた。ふたりはカーストで表せば三軍の位置にいる。瀧川のことは怖い存在でしかない。