マリアちゃんと鬼ごっこ
それから食品売り場でパンを手に取り、時間短縮のために歩きながら頬張る。
こういう時、値段の高いものを選んだほうが得なのに俺たちはお金を払わない罪悪感を捨てきれないから安いパンを選んで食べていた。
「このままスマホの充電ができるまでここにいるの?」
「うーん」
着いた順番で考えるなら俺たちの番が回ってくるのは最後だ。正直、クラスメイトが全員揃ってしまっているこの場に留まることは危険だと思っている。
けれど他に充電できる施設は思い付かないし、今はマリアがどこにいるのか把握できないことが一番怖い。
「もう我慢できない! トイレどこ!?」
凛太郎がわかりやすく背中を丸めていた。
「お前まさか弁当つまみ食いしたんじゃ……」
「ちげーよ! 普通に小のほう! んで、どこ? マジで漏れる!」
「トイレならまっすぐ行った突き当たりにあるはず」
「すぐ戻ってくるから!」
凛太郎は慌ててトイレがあるほうへ駆けて行った。
「ごめん、永人。私もその……」
「もしかしてトイレ?」
「恥ずかしいからはっきり言わないで」
「はは、ごめん。三花も行ってこいよ。ここで待ってるからさ」
「うん。ありがとう」
三花の足音を聞きながら、俺はポケットからスマホを取り出す。
今、何時だろう。なんだか眠気も襲ってきてるし、また交代で仮眠したほうがいいかもしれない。
そんなことを考えていると、「うう……う……」という呻き声が耳に届いた。
それは一際眩しく光っているゲームセンターの前だった。おそるおそる近づいてみると……。
「え、ひ、火野?」
なぜか火野が腹部を押さえて倒れていた。