マリアちゃんと鬼ごっこ
トイレに行ったはずなのに、どこにもいない。おそらく三花たちも俺のことを見つけてるはずだ。
その途中で携帯ショップに寄ると、他の人たちの姿もない。充電ケーブルには有野、高橋、牧田のスマホがまだ繋がれていて、瀧川のだけが外されている。
ということはみんなにマリアのことを知らせてくれた?
いや、友達をあんなふうに見捨てるやつだ。おそらく自分のスマホだけを持ってショッピングモールを出てる頃だろう。
「村瀬くん?」
声がして振り返ると、日高先生が立っていた。
「せ、先生、みんなは?」
「牧田さんたちは着替えたいって洋服を見に行って、他のみんなは仮眠できるところを探してるわ
」
「か、仮眠って。そんなことやってる場合じゃないですよ! マリアがここに……」
「きゃああっっ!!」
フロアに響き渡るほどの叫び声が飛んできた。おそらく工藤の声だ。まずい。もうマリアと鉢合わせしてる人がいる。
「先生はどこかに隠れていてください! 俺は三花と凛太郎を探します!」
「む、村瀬くん。前!」
視線を送らせると、マリアがこちらに向かって歩いてきていた。
「あと何人かな~♪︎」
マリアは俺たちを逃がすつもりはないらしい。
先生をひとりで置いていけない。かと言って三花と凛太郎がどこのフロアに行ってしまったのかもわからない。
どうする? どうしたらいい?
〝なにがなんでも生き抜こうぜ!〟
ふと、凛太郎の声が聞こえた気がした。
そうだ。俺たちの目標は決まっている。ここで殺されるわけにはいかないんだ。
「先生、ここから出ましょう!」
「え、でも青山さんと嶋くんは?」
「ふたりなら大丈夫です。俺は三花と凛太郎のこと信じてますから」
きっと同じ答えを見つけて各々に逃げてくれる。
だから俺も迷わずに逃げることを選んだ。