Livre magie〜信じる心〜
それと同時に、エリカが一生懸命ご飯を作ってくれたことが嬉しくて、胸が音を立てる。僕の執筆が忙しくて部屋から出られない時、いつもエリカは僕が頑張れるように僕の好物を作ってくれるんだ。

「ありがとう。もう少し執筆をしてから食べるよ」

「わかった」

僕はメルキュールにそう言い、目をタイプライターに向ける。少しだけでも進めておきたい。締め切りが近いからね。

カタカタと部屋にタイプライターの音が響く。僕は執筆を続けていたんだけど、何なら視線を感じてしまう。メルキュールが部屋から出て行かず、僕の執筆の様子を見ているんだ。

正直言って、こんなに見つめられると気が散ってしまう。でも、「出て行ってほしい」なんて口が裂けても言えない。どうしたらいいかな……。

その時、ガチャリと僕の部屋のドアが開く音がした。でも僕はドアの方には目を向けず、タイプライターで執筆を続ける。

「おい、メルキュール!ノワールの執筆を邪魔をするな!」
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