兎月鬼~とげつき 月が奇麗ですね~
06*上弦の月(じょうげんのつき)
 ――――昔々、あるところに鬼がいました。

 鬼は人間と仲良くなりたいと思っていました。だから鬼は角を隠し、人間のふりをする事にしたのです。

 角を隠した鬼は、人間の若者と出会いました。二人はすぐに仲良くなりました。

 鬼と若者は、一緒に出掛けたり食べ物を分けあったり。毎日とても楽しく過ごしました。

 ところがある日、鬼は仲間が人間に虐められているのを見つけました。仲間を助ける為に鬼は本当の姿になり、人間を蹴散らしました。

 仲間を助ける事が出来ましたが、鬼の姿を仲の良かった人間の若者も見てしまったのです。

 若者は怒りました。自分はずっと騙されていたのですから。

 鬼は悲しくなりました。せっかく仲良くなれたのに若者を怒らせてしまったのです。

 そうして鬼は、若者の前から去る事にしました――――



 ……子供の頃にお母さんから聞いた昔話。

 何だか、今の私によく似てる。

 昔話の鬼は、どうして若者の前から去ったのかな。若者を怒らせちゃったから?

 それが悲しかったのかな……


 私も、悲しいのかな…………


 鬼は逃げてどうなったんだっけ? 話の結末が思い出せない。
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