本能で恋をする~after story~
「旅行?
どうしたの、急に……」
凛音が、鞄を受け取りながら言う。

「いや、叶斗がさ、日頃頑張ってくれてる社員を労いたいって言い出して。
で、どうせなら凛音もどうかなって!」
「それは、いい考えだね。
でも私もいいの?」
「もちろん。家に凛音を一人にできないし。
叶斗も会いたがってるし、社員も……」
「ん?何?聞こえなかった」

「あ、いや。とにかく凛音行こう!」
「うん!嬉しい!楽しみ!」

いや、いや、楽しみって…………。俺は不安しかない………。
叶斗が、言ってたことを思い出していた。

【海斗、そんなに自信ないの?僕に凛音ちゃんを取られるとでも?大丈夫でしょ?凛音ちゃんは海斗しか見えてないんだから。僕は身にしみて知ってるし】

わかってんだよ!でも凛音だぞ。小さくて、可愛くて、天使みたいな。凛音にその気なくても相手がヤバいんだよ!
はぁ、億劫だ―――――
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