本能で恋をする~after story~
バン――――
「海斗!!!」

「は?君加?なんだよ!今仕事中だ!」

カツカツカツ――――
パシン―――
「は?」
「あんた!凛音のことなんだと思ってんの!?」

ヒールの音を鳴らしこっちへ来たかと思ったら、平手打ちされた。
叶斗は何が起こってるのかわからないとゆう風に、見ている。

「は?なんだよ!」
「なんだよ、じゃないよ!あんな最悪な束縛して!いくら愛し合ってるからって、良いことと、悪いことがある!凛音が離れられないからって、酷すぎる!」
君加は、泣きながら訴えてきた。

君加の涙を初めてみた。あんな強い女が泣いている。さすがに面を食らった。
正直、凛音以外の人間が泣こうが喚こうが、なんとも思わない。でも今、凛音の為に泣いて訴える君加に、頭が冷えた気がした。

「ごめん。そうだよな……やり過ぎた…」
「凛音は今日からうちに住まわせるから!一平にも伝えてる。ちゃんと頭冷やして!」
「は?なんでだよ!それだけは嫌だ!凛音が傍にいないなんてあり得ない!」

「海斗はそれだけのことしてるの!」

「嫌だ!今すぐ撤回する!だから凛音を連れていくのだけはやめてくれ!」


それは俺にとって“死”を意味する。

「はぁー、ほんとね?」
「ほんとに!」

「………わかった!じゃあ私はもう何も言わない。その代わり、次はないからね!」

「わかった……」


君加は来たときと同じように、ヒールの音を鳴らして帰っていった。

嵐の後のように、社長室がシーンとしている。

「海斗?」
「ごめん。仕事中に…」
「いや、解決したみたいだから。何があったか知らないけど、僕は口出さないよ!」
「あぁ」

完全に、面を食らった。
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