2番目の恋
焼きそばを作ってる間に、笹崎がコンビニでお酒とおやつを買ってきてくれた。

2人とも缶チューハイを飲む。

「笹崎さ、私がクラスの女子全員に無視された時覚えてる?」
「そんなことあったっけ?」

私はずっと覚えてる。

悲しい記憶は絶対に消えない。

友達に話しかけたら目を逸らされた日。
誰に声を掛けても、応えてくれない。

突然毎日がグレーになった。

「その時一緒にお弁当食べてくれたよね。急に私のとこ来てさ。」

高3の時。
独りで昼休みを過ごしていたら、いつもと変わらず接してくれたのが笹崎だった。

バカな話をし続けて、私も仕方なく笑うしかなくて。

笹崎はいっつも全体を見てて、一人一人の顔を常に気にしてるタイプだった。

「好きな子には笑っててほしいよ。」

笹崎が言う。

「それ高3の時の話だよ?」
「うん。」

好きな子って。

お互い見るところなくて、焼きそばの残骸に目をやる。

柿ピーを食べる。

< 11 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop