1人で頑張らなくてもいいんだよ、俺にも頼ってよ
入学式


「新入生代表、1年1組成田菜々美(なりたななみ)」
「はい」

シーンと静まった体育館に私の声がマイクを通して響く


「暖かな春の訪れと共にこの京華高校に入学することができました………………
新入生代表、成田菜々美」

書かれた文面を読みきると拍手がおこる

深深と頭を下げて舞台から降りて自分の椅子に座った



新入生代表の挨拶を頼まれた時に、私がトップ合格かと思った

まあそれもなんとなくわかった

なぜなら私はもっとレベルの高い高校に行きたかったのだから


第1希望校に落ちた訳ではない
京華高校は県立だしなんなら第1希望校だった



中学校の先生にも何回も言われた

「成田さんなら志望校をもっと上げてもいいのよ」

「いえ、私が京華高校に行きたいんです」

作り笑いをした


本当は私立の進学校に行きたかったのである

懇談会も三者面談ではなく二者面談にしてもらった


ひと言で言うなら家庭の事情……
という理由で家から1番近い、自転車で10分ほどのこの高校に決めたのだった




入学式も終わり各教室の自分の席に座る

みんな早くも隣の席の人と話したりしている


同じ中学校の友達は同じクラスにはいなかった為、大人しそうな人と友達になろうかなーなんて考えながら人間観察をしていた


私の席は真ん中の1番後ろだったため視線をキョロキョロしながらクラスメイトを見ていた

男女半分くらいかなぁ

< 1 / 220 >

この作品をシェア

pagetop