愛され、溶かされ、壊される
恋人
「おはよ。あおちゃん!」

「あ、竜くん。おはよう」
「迎えに来ちゃった!今日から毎日行き帰り一緒だよ!」
「あ、うん。ごめんね…もっと早く出てくればよかったね。インターフォン鳴らしてくれればよかったのに」
「それはダメだよ!あおちゃんを焦らせるから」

「だったら、明日からは時間を決めてくれたら、その時間までに用意しておく」
「わかった!行こうか!」
「うん」
竜くんは、自然に私の手を握り、コートのポケットに手を入れた。

「今日寒いから。温めてあげる!」
「ありがとう。温かい////」

温かな気持ちで、出勤した。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

*****竜・side*****

可愛いなぁー。ほんと可愛い!
彼女・葵が、大学生の時の俺を知らないのは当たり前だ。
だって大学の時は、地味に目立たないように生きてきたから。
物心ついた時から“可愛い”と言われ、中学・高校では“カッコいい”と言われてきた。
嫌だった訳ではないが、そのせいでかなり嫌な思いもしたからだ。
だから、大学ではそう言われないように前髪を伸ばし、顔を見られないように、なるべく人と関わらないようにしたのだ。
そうすると今度は“キモい”と言われる。
結局“顔”かよ!って感じだ。

本当に俺を見てくれる人を探していた。

そんな大学二年生の春。
「あ、あの!」
「はい?」
「あ、ごめんね…これ落としましたよ。あなたのですよね??」
「え?あ、はい」
「やっぱ、そうだ。よかったぁー。ハイ、どうぞ」

と、フワッと笑い渡してくれた。

一目惚れだった。
初めて心の底から、可愛い、綺麗だと思える人に出逢ったのだ。

「ちょっと葵!アイツキモいから、やめなって言ったでしょ?ほっときなよ!?」
「え?ダメだよ!大事な物かもしれないし……」
「もう!!」

これが、俺と彼女・葵との出逢い――――――

あっ、ちなみに葵の前で“僕”って言ったりするのは、警戒されない為。
少しずつ、少しずつ俺なしでは、生きれないようにしてあげる!
*****竜 side・終*****
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