ただ今、2人の王子に愛され中
プロローグ


 鏡の前に立つ。

 ひとつ深呼吸してから、私は自分の姿を見つめた。

 そこに写っているのは、確かに私だった。

 でも、まるで、私じゃないくらい、


「きれい…。」


 思わずため息が漏れた。


音葉(おとは)…。ホントにきれいだよ。」


 横に立つ母の目には、うっすら涙が浮かんでいた。


 純白の、ウェディングドレス。

 それに身を包んだ私は、自分でも驚くほどきれいだった。


「音葉さん、そろそろ時間ですよ。」


 名前を呼ばれて、私は慌てて時計に目をやった。


「あ、はいっ。今行きます。」


 憧れだったバージンロードを、これから父と歩く。

 赤いじゅうたんのその先に、私の、人生のパートナーが待っている。


 世界で一番大切な彼が、待っている。


 彼は、私の初恋の人だ。

 初恋の人にして、運命の人にして、私のこれからの旦那さん。

 私は今、幸せの絶頂にいる。

 ずっとずっと大好きだった人と、結ばれるんだから。


 今から話すことは、そんな私と彼の、始まりの物語。

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