ただ今、２人の王子に愛され中

　私は思わず苦笑する。


「…今度は、何の冗談ですか？」

「…今度？」


　陣くんが、怪訝そうに私を見る。


「さっきも、隼人に似たような冗談を言われたんです。私のこと、『俺の彼女ですから』って。…笑えないですよね。」

「あいつが、冗談でそんなことを言ったの？」


　ふいに、陣くんの声色が変わる。


「はい…。自分で冗談って言ってましたけど。」

「なんだそれ。…最低だな。言っとくけど、僕のは冗談じゃないから。」

「へ？」

「僕は本気だよ。」


　陣くんが、私に顔を近づける。


「僕、音ちゃんのこと、本気で好きだから。」

「え…。」

「だからさ、僕と付き合わない？」


　動揺。


　私が何も答えられずにいると、陣くんはふっと微笑み、私の頬から手を離した。


「ごめん。いきなりで、驚かせちゃったね。返事はすぐじゃなくてもいいよ、ただ…、」


　陣くんは真剣な面持ちで言う。


「僕が、本気で音ちゃんを想ってるってこと、忘れないで。」


　そう言うと、陣くんはふいっとそっぽを向いて、そのまま立ち去ってしまった。


　動揺。

　１度に色々な事が起こりすぎて、頭の整理が追い付かない。

　待て待て。

　初めから考え直そう。


　中沢くんに告白されて、隼人に「彼女」だって言われて、陣くんに告白された…。


　どうしよう。

　どうすればいいんだろう。

　私、恋愛なんてしたことないし…。

　本当に、どうすれば、