お願い、名前を呼んで。
竹内君が現れた
私達は、部長にお礼を言うと、駅ビルに向かった。

既に、居酒屋を予約している。
早速、祝杯をあげて大袈裟なぐらいに盛り上がった。

プロジェクトは、始まったばかりだ。
藤田さんが途中で釘を刺す。

「これは打ち上げじゃないぞ。決起集会みたいなもんだからな。これから忙しくなるけど、皆んな、気を抜くなよ。」

「分かってます!」
「頑張ります!」

こうやって、楽しい時間は過ぎていった。

私はお酒のせいか眠たくなり、携帯で時間を確認した。

携帯には、目が覚めるぐらいの着信履歴が残っていた。
プライベート携帯に、着信なんて・・・。
両親に何かあったのかと心配になる。

でも、画面を開いてみると、それは全て、竹内君からだった。

何かあったのかな。

掛けたいけど、まだ宴会も盛り上がってるし。

そう思ってると、携帯を片手に誰かと話している藤田さんが私の方に向かって、手招きをしている。

私?と思いながら藤田さんに駆け寄ると、藤田さんの携帯を渡された。

「竹内が、野崎さんに何度電話しても出ないからって、僕に電話してきたの。お願いだから、出てやってよ。」

「もしもし。」

「お前、携帯出ろよ。」

「ごめんなさい。全然、気付かなくて。」

「しかも、報告がメールって何だよ。冷たくないか。」

「ごめん、仕事の邪魔しちゃ悪いなと思って。
あの、後でかけ直すよ。これ、藤田さんの携帯だし悪いから。」

「後じゃ駄目だ。今、すぐに来い。駅で待ってるから。」

「駅って?私、そんなとこまで行けないよ。」

「そうじゃない、お前のいる駅だ。とにかく待ってるからな。早く来いよ。」

そう言うと、電話は切れてしまった。
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