成瀬くんと秘密の教室で××の特訓を♥

「せっかくだし、女の子と2人きりでデートする練習しようか？」
「えっ、ペース速くない？」
「そんなことないよ。普通は2人でぐらい会話できて当たり前だもん。別にやましいことはしないからさ。ただ2人きりで出かけるだけ。いいでしょ？　ね？」
「うん、まあ。それぐらいなら……放課後？」
「そうそう。次いで感覚で気軽な方がいいでしょ。前日から気合い入れたら緊張してこれないとかあり得るし……良太だし……」
「うっ、否定できないオレ……」

（それに帰宅部同士だしね）

「良太のお稽古には間に合うようにしておくし」
「本当にありがとう、由紀」
「別に、お菓子のためだから……」

　だって本当に美味しいんだもん。成瀬製菓のお菓子……。

　普通の家の子なら、いつでも食べれるんだろうけど、うちんちだとソレは無理な話だから。学校でこっそり受け取って、帰るまでに食べないと、お菓子の殻が見つかるだけでグチグチ言われるのが目に見えている。はあ。なんでうちんちってそういうところうるさいんだろう？　それなりには裕福だけど、所詮それなりなのに……むしろだからこそ、上流階級を意識してるのかも知れない。そんな、無理に背伸びしなくてもいいのに。