お前なんか!!~世間知らずなお嬢さまは執事を所望する~

ところが中間テストに続き、球技大会でも彩乃の活躍は目覚ましかった。ネットの上から打ち下ろすスパイクは鋭角にコートのインを打ち抜き、ポイントを決める。中学時代に助っ人で試合に出ていた岬にも分かるほど、彩乃は名アタッカーだった。

病欠で欠員が出たバスケでもスリーポイントシュートを決めたりと、活躍が華々しい。岬も同じように得点に絡む活躍を見せていたが、同じ中学からの出身者が多い一年生の中で、彩乃は新しく現れたスターだった。岬の周りをにぎわしていた子たちが、一斉に彩乃を褒めたたえる。岬のファンクラブであった子までもが、彩乃の活躍に釘付けだ。岬は悔しさにハンカチを噛みちぎる勢いだった。

あっという間に彩乃を中心とする人の輪が出来上がった。テストをすれば彩乃が一位になるのを皆が当たり前として受け止め、体育の授業では一人抜きんでた運動神経で教師からも称賛される。異性からの告白も岬より多くなった。岬は学校という安住の地だった場所で、辛酸を舐めることになった。

ところがその彩乃が、岬と登下校を一緒にするものだから、一部の生徒に勘違いが起きた。

「岬くんは宮田さんと付き合ってるの?」

そんな言葉を岬を取り囲む女子から聞かされた時に、岬は心底驚いて、はあ!? と大声を上げた。
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