お前なんか!!~世間知らずなお嬢さまは執事を所望する~

数え上げたらきりがないけど、探し出すどの相手にも、岬は負けてないと思った。いちいち成績や女子からの人気度なんかを比較して、自分の方が良い男だ! と結論付ける。そして、自己嫌悪に陥るのだ。

「岬くん、最近どうしたの? ずっと目立つ人たちを調べたりして……。そんなことをしなくても、岬君はカッコいいよ?」

「そうだよ~。一時期、宮田さんの活躍振りに浮気してた子たちだって、戻ってきてるし」

「うんうん。やっぱり岬くんに敵う人はいないよ~」

クラスメイトの女子たちの言葉にハッとする。……どうして自分を彩乃が恋う人との比較をしなければならないのだろう。

「い、いや……。僕もまだまだ成長しなきゃいけないなって、思ってたとこなんだ……」

嘘だ。まだまだなんて思ってない。自分の方が優れてると繰り返し思ってる。女の子たちは、そんなことないよ~、と笑っていたが、何故だかその言葉たちは岬の耳を通り過ぎていく。岬は自分の変化が考えられなかった。

(なんで褒められてんのに、素直に受け取れないんだっ! 女の子たちは俺のことを認めてくれてるのにっ! 俺はどうしちゃったんだ、一体!!)

このままでは頭を抱えて唸りだしそうな勢いだ。本当に自分が分からない。

その後も彩乃の片恋の相手の目ぼしい相手を見つけては、その相手と自分を比較してしまう度に、岬は深く落ち込んでいた……。


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