白き髪のガーネット【改訂版】
第7章

あれから3日ーー。
この砦を水の軍から奪って3日が過ぎた。

俺達炎の軍は砦を修復しつつ、本格的に水の国へ進軍する為の準備を行っている。
今夜は建物の一室で今後の打ち合わせをしていて、それが終わりに近付いた頃だ。

「っ……あの、クウォン様!
ガーネット様の事は、本当によろしいのですかっ?」

軍議に参加していた隊長の1人が言った。
その場にいたアルトやメル、他の隊長もその発言に驚きつつも……。気にしている様子で俺を見つめている。

「……。
あれは、水の姫だ。ガーネットなど、初めからいなかった。……忘れろ」

フッと笑って軍議を終わらせると、俺は誰よりも早く部屋を出て、建物の最上階の屋上へ行き夜空を見上げた。


水の城が近いせいか、ここは俺の住む炎の国よりも涼しくて、むしろ夜は肌寒く感じる位だ。

「……忘れろ、か。
よく、そんな事を言えたものだ」

そう呟いて、苦笑いを零す。
誰よりも忘れられていないのは、他の誰でもない、俺だ。

俺はあの時、ホッとしていた。
ヨシュア王がこの砦を捨てて撤退命令を出した時。

ガーネットを、この手で殺らなくてすむーー。

そう、心から安堵していたんだ。
覚悟していた筈なのに、心の中で相手の撤退を願っていた。

「もう、諦めろ。
お前と彼女は、結ばれない運命なんだよ」

自分に言い聞かせて、俺は前髪をかき上げるようにして頭を押さえた。


俺とガーネットは結ばれない。
どうする事も出来ない運命だった。

10年前から、きっと決まっていた。

……
…………。
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