水深

2


― ― ―*



「委員長。これ職員室まで持っていってくれ」


夕焼けで赤色に染まった教室に生徒数名と先生の声が響く。


「はい」


私は数冊ノートを抱えて職員室へと向かう。


「委員長」


と聞き覚えのある声が後ろから飛んでくる。


振り返ろうとすると


「あっ、待って。待って!そのまま振り返らないで当ててみて」


声の主に止められてしまった。


「さて、俺は誰でしょうか?」


声の主はナゾナゾの答えを聞いてくるように私に問う。


「羽崎君ですか?」


私は頭の中から答えを探し当てた。


「せーいかーい」


横からぬっと出てきたのは予想通り羽崎君だった。


(嫌でも、分かるに決まっている。


毎度、毎度昼休みにくるのだから。


それどころか話しかけてさえもくるのだから)


(人というのはおかしなもので嫌いな音や声ほど耳に残る。)


「やっぱり羽崎君でした。で、どうしたんですか?」
< 31 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop