片翼を君にあげる①

「《俺なんかでよければ、ぜひ友達になってくれたら嬉しいよ》」

「《!……本当っ?!
ありがとう、ツバサ!ボク、めちゃくちゃ嬉しい〜!》」

俺の言葉にジャナフは大袈裟に感じるくらいに喜んで、ガバッと抱き着いてきた。そんな彼からはやはり、最初腕を掴まれた時に感じた"負の感情"は感じられない。
もしかしたら、あの感情は彼のものではなく俺の気持ちの不安定から溢れてしまったものかもしれない……。そう思って、俺はその事について深く考えるのをやめた。


……
…………その後。
中央広場の噴水に早めに着いた俺達は、ジャナフの待ち合わせの人が来るまでその場でまた少し話をする事になった。

「《ねぇねぇ!ツバサってお姉さんいる?》」

「《うん、2人いるよ》」

「《マジッ?紹介してって言ったら、紹介してくれる?ツバサのお姉さんなら絶対に美人で良い人だもん!》」

ジャナフは本当に元気で最初は噴水の前にあるベンチに一緒に腰掛けて居たのに、いつの間にか立ち上がり俺の前をちょこまかとしながら話す。

「《ははっ、それはどうも。
でも、残念ながら1番上はもう既婚者で子供(深く話せば俺と同い年の子供だが、それは黙っておこう)もいるし、もう1人は……良い男性(ひと)がいるんだ》」

「《えぇ〜っ!そっかぁ、残念……》」

俺の返答を聞いて、ジャナフはまたまた分かりやすいくらいのリアクションでガックシと肩を落としていた。
その様子を見て少し申し訳ないと思ったけど、ここはやはりどんなに良い友人だろうとも姉の気持ちを尊重したい。だって姉貴は、ずっとずっと前からミライさんの事が好きだったんだから……。
きっと幼い頃に遊んでもらってた時から想ってて、夢の配達人の看護師になったのだって絶対に、身体があんまり丈夫じゃなくてよく病気や怪我をするミライさんの為なんだ。
そんな姉貴を俺は応援してる。ミライさんと繋がりない今の俺に出来る事は見守る事と、姉貴の想いが届く事を願う事しか出来ないのが正直歯痒いけど……。
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