片翼を君にあげる①

俺は彼女が、ただ傍で微笑ってくれていたらいい。
キスしたいとか、もっと触れ合いたいとか……。そんな感情は微塵もない。

俺の、レノアに対するこの想いは何ーー?

昨夜の自分の全てから感じた疑問の感情は、俺に男としての自信だけではなく、長い間大切にしてきた彼女への想いへの自信さえも分からなくさせていた。

……
…………。

そして、翌日。
追い討ちを掛けるように更なるニュースが舞い込んでくる。

『アッシュトゥーナ家ご令嬢レノアーノ様に、ドルゴア王国第一王子がご求婚(プロポーズ)!!』
『年内にもご結婚か……?!』

立ち止まったままの俺に、現実は待ってくれない。
俺と彼女の距離を、どんどんと広げて行くだけだった。
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