独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~
「連さん、お世話になります」

俺たちは本日より同居、いや隣の部屋で近居することとなる。彼女は先日文護院家の籍に入った。公にするのはもう少々先の予定なので、表向きは上司と部下でいくつもりだ。

「これから荷解きだな。この部屋は好きなように使ってくれ。これからは初子の部屋だ」
「はい、ありがとうございます」
「これが鍵、そしてこっちの小さいのが内扉の鍵だ。ほらそこ。俺の部屋と初子の部屋を繋ぐドアの鍵だな。どちらからでも使えるようになっている」

初子の小さな手に鍵を乗せると、リビングに面した内扉と交互に見て、緊張の面持ちでいる。
俺の目には初子のつむじが見える。丸い頭は本当に燕の頭みたいだ。初子は折り目正しく、どこか軍人っぽさもあるくらいきっちりしているが、顔立ちは小動物系の愛らしさがあるし、小鳥みたいな可愛らしい声をしている。
俺は縁あって契約の妻になってくれた部下をまあまあ気に入っている。

「夫婦といっても、同居というわけじゃない。俺に気兼ねはいらないぞ。出勤も別々でいいし、食事の心配もいらない。俺の部屋はハウスキーパーがくるが、初子の部屋も同じように頼むか?」
「いえ……私は、結構です」
「そうか。ああ、でも内鍵はいつ使ってくれても結構だ。勝手に入ってこい。夜這いはいつでも歓迎だ」
「よ、よばっ……!」

真っ赤な顔をされてしまった。からかい半分、本気半分だったが、あまりこういう冗談は好きじゃないかもしれない。初子はものすごく真面目だ。
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