俺様な幼なじみは24年前の約束を忘れない
会場の外に出ると、凌ちゃんはすこぶる不機嫌だった。
チッと舌打ちをして、顔をしかめる。
「お前、気合い入り過ぎだろう。なんだ、その顔。
香子の付き添いのくせに。バカじゃないのか。」
冷水を浴びせられたような衝撃が走った。
綺麗だと言われることは期待していなかったが、まさかこんなことを言われるとは。
羞恥で顔がカッと熱くなる。
『香子の付き添いのくせに。バカじゃないのか。』
やっぱり、凌ちゃんは凌ちゃんだ。
意地悪で、いつも人のことをバカにする。昔から変わっていない。
「ごめんね。身の程知らずのバカで。」
私は震える声を我慢しながら言った。
「もう帰るから。院長先生と恵理子さんによろしく伝えて。」
私はそう言い捨てると、その場から走り去った。
「おい!莉子!」
凌ちゃんが何か言ったようだが、もうここにいるのは絶対に嫌だ。
身の程知らず。
女医さんや市会議員のお嬢様に言われたときには、全然気にならなかったのに、凌ちゃんにも同じように思われていたのが、堪らなく苦しい。
慣れないヒールで必死に走りながら、溢れる涙を堪えることができなかった。