俺様な幼なじみは24年前の約束を忘れない

柳田家では、いつものように、恵理子さんが優しく抱きしめてくれた。
「これからは凌介がひどいことをしたら、凌介を追い出すから。
莉子ちゃんは安心してお嫁にきてね。」

晃ちゃんは、
「凌介はずっと莉子のことが好きだったからな。
鬱陶しくて、ヤキモチ焼きで、めんどくさい弟だけどよろしく。」
と言って、私の頭をポンポンと撫でた。

院長先生は、
「本当は、別の人を紹介する手はずになってたんだ。僕が厳選した相手をね。

それを凌介が強引に、お見合い相手は絶対に自分だ、研修から帰る8月までは、絶対に誰も紹介するなってごねだして。

僕は嫌だって言ったんだ。
また騙すようなことをして、今度こそ莉子ちゃんに嫌われたらどうするんだって。

本当に悪かったね、莉子ちゃん。

何度も言うけど、嫌なら断っていいんだよ。莉子ちゃんは本当に凌介でいいのかい?」と、心配そうに聞いてくる。

みんなの話を不機嫌そうに聞いていた凌ちゃんは、「チッ」と舌打ちをした。

眉間に寄ったシワを、撫でて伸ばしてやる。

すると凌ちゃんは、照れくさそうに微笑んだ。

こんな人生もいいかも、不意に胸が暖かくなる。

柳田家の人たちは本当に優しくていい人たちだ。その家族の一員になりたい。

旦那様になる人は、すぐ不機嫌になるし、めんどくさい人だけど、そんなときは、シワを撫でて伸ばしてやればいい。

うん、こんな風に生きるのも幸せだ。
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