トンネルの向こう側

包囲網

さやかは、お昼休みに母親にメールを入れた。

"お父さんとお母さんに、紹介したい人がいるので、日曜日にそっちに行って良い？
今日の夜に詳しい事を電話するね。"

首には将大からのプレゼントのネックレスをし、張り切って仕事をした。

今日も少し残業をし、会社から駅に向かい帰宅する。
恭一さんに言われた通り恭一さんの会社の前を通る。
中をチラッと見ると、カウター近くに立っている恭一さん。

私は頭を下げる、今日も入口まで出てきてくれた。

「さやかちゃん、お疲れ様。お！
ネックレス似合ってるね！　ふふふ。
気をつけて帰ってね！　じゃあ。」

恥ずかしそうにするさやか。

「はい。お疲れ様です。失礼します。」
駅に向かうさやか。

恭一は、昔からの伝手を使い、
駅周辺にいる知人たちに友貴の顔写真を流した。
駅周辺に現れたら連絡が入る事になっている。

将大から日曜日にさやかのご両親に挨拶をすると連絡が入った。
友貴に隙を与えない事にしたようだ。


恭一は、ホスト時代に、仲間がストーカー女に刺された事件を知ってるだけに、2人の事が心配でたまらなかった。

自分勝手で、独りよがりな感情と妄想…
好きという感情が恨みや憎悪に変わる…
人間の感情は本当に恐ろしい…