契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
発覚
《と、いう話なのよ。どう思う? 渚》

 ハンズフリーにした携帯から聞こえる姉の問いかけに、渚は手にしていた包丁を置いて、うーんと首を傾げた。
 日曜日の夕方、渚は家で夕食の準備をしている。
 和臣は例によって仕事があるようで午前中に事務所へ行くと言って出て行った。
 でも夕食はうちで食べると言っていたから、渚はこうして準備をしているというわけだ。
 もう随分寒くなってきたから、今夜は今年初めてのお鍋にしよう、そんなことを思い、いそいそキッチンに立った渚にかかってきた姉からの電話の内容は、義兄祐介からの飲み会への誘いだった。
 なんでも弁護士仲間の間で、和臣と渚を囲んで結婚のお祝いの会をやろうという話が持ちあがっているそうで、それについて姉の方に祐介から話があったようだ。
 祐介と和臣は元は同じ事務所の先輩と後輩にあたるわけだからもちろん祐介は初めは直接和臣に声をかけた。
 でもなぜか和臣の方はのらりくらりで、いまいち色良い返事をもらえない。それで姉から渚に言ってくれないかとなったようである。
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