私を救ってくれたのは
そう思って、私は飛び降りようとする。その時、私の腕を誰かが掴んだ。

「……健一」

私の腕を掴んでいたのは、健一だった。

「危ないから戻ってきて」

「嫌!健一、その手を離して!」

「離さない。離したら、お前……ここから飛び降りるつもりでしょ?」

「……」

「俺は、お前を失いたくないんだ」

そう言って、健一は私を引っ張る。私は、仕方なく柵を乗り越えて戻った。

「……ごめんね」

健一は私を抱き締めると、そう呟く。

「辛かったんだね……」

健一の優しい声に、収まりかけていた涙がまた溢れ出した。

「……っ」

堪え切れなくなって、私は声を上げて泣き始める。健一は、私が泣き止むまでずっと抱き締めてくれた。

私が泣き止むと、健一は私から離れて私を見つめる。ずっと健一に抱き締められたいな……。

「……俺、遥を守りたい……俺は、遥が好きなんだ」

健一の言葉に、私の胸は高鳴る。

「でも、私は……」

私がそう言うと、健一は「俺は、お前を裏切らない。絶対に」ともう一度私を抱き締めた。

……健一だけは、信じられるかも。

「……私、健一が好き」

健一は、私から離れると無言で微笑むと私にキスを落とした。
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