ただ、一緒にいたい
*****愛月・猛 side*****
「あーずちゃん!」
「え?猛さん?」
「はい!猛でーす!」
「………」
「軽い男って思ったでしょ?」
「少し…」
「正直だね!まぁ、そんな風に見せてんだけどね!」
「あの、今日は何か?彰くんに内緒で会うと怒られるんです。
失神させられるし…」
「は?失神?」
「あ、いえ」
(顔が赤くなった。可愛い――――――)

「こうでもしないと会えないからね!彰って抜かりないし!」
「そうですね…」
「ありがとね!彰のこと!」
「え?」
「彰にとって退学からの八年は地獄そのものだったからね!アイツは俺が教えたこと、スポンジみたいに吸収して、想像越えて強くなったんだよ!手もたくさん汚してきたしね!
でも君に再会して初めてアイツ、俺に本当の意味で強くなりたいって言ってきたんだよ!」

「本当の意味で?」
「高校の時は、たぶんアイツはいじめた奴を殺したくて俺に助けを求めたと思うんだ。俺は元々から親父の後を継ぎたいと思って闇に染まったけど、アイツはいじめた奴を殺したくて闇に染まった。君を守るとゆう理由付けして!最初は君の為じゃなくて、彰自身の為に。
じゃないと俺に助けを求めるのおかしいでしょ?
まぁ、俺もそれを利用して組に入れたんだけどね。アイツずっと昔から素質あったから」

「猛さん…」
「その彰が君に再会してから、愛月の為に強くなりたいって言ってきた!あの時のアイツはいつもの真っ黒な鬼じゃなくて、純粋に男としてだった!
久しぶりにあんな彰見たよ!
だからあずちゃんに感謝してる。ありがとう!」

(やっぱり彰くんのお兄さんなんだな!そうゆう優しい所も似てる!)
自然と微笑む、愛月。
「あずちゃん、その顔さ」
「え?」
「彰以外の男に見せない方がいいよ……」
(俺でも惚れそう…)
「え?え?あの………」
無意識に愛月の頬に触れていた、猛。
(あ、ヤバッ!勝手に手が……)


「なにやってんだよ!」
「ゲッ!」
「彰くん!」
「ゲッ!じゃねぇよ!愛月から離れろ!」
「これは不可抗力だぞ!あずちゃんが可愛いから…」
「え?か、可愛い?猛さん?」

「とにかく離れろ!!」
彰に引っ張られ、胸の中におさまる愛月。
「あずちゃん…大丈夫?コイツに嫌なことされなかった?」
「コイツって…ひでぇ…」
「ううん。大丈夫だよ!猛さんが彰くんを大切に思ってるって話してただけだよ!」

「は?」
ハモる西山兄弟。
「え?」
「あずちゃん、キモいこと言わないで!兄貴が俺を大切とか」
「そうだよ、俺はバカな弟の尻拭いが嫌だから!」

「フフフ…二人とも可愛い!」


「可愛くねぇ!!」
再びハモる西山兄弟だった。

*****愛月・猛 side・終*****
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