HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
「槇村先生、行ってしまったね」

入れ違いに相馬先生が私の前に腰を下ろした。

「もっといろんな話訊きたったけど…残念です」

「・・・結構槇村先生の話面白いからね…俺も訊きたかったよ…」

相馬先生はコップの水を口に含んだ。

「早斗君も経過は順調ですね」

「うん…パパとしては嬉しいよ」

相馬先生は目尻を下げて穏やかに笑った。

「それよりもどう新婚生活は?」

「どうと言われても…」

私はお姉ちゃんの身代わりだし。

「憂かない顔してるね…」
「だって…私は…」

「君はお姉さんの代わりだと思ってるの?」

「はい…」

「違うよ…ちゃんと高木先生は君を見てるよ…君が早斗の担当看護師になった時からずっと…」

「えっ?」

「俺、ずっと高木先生に君と早斗の映った動画を送っていたから」

「えぇ~っ!?」

< 103 / 262 >

この作品をシェア

pagetop