HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
ノック音がして、入って来たのは専攻医として勤務していた隼也さん。

やっぱり、改めて見ると久世さんに似ていた。

「瑞希ちゃんの居たのか…」

「うん」

「彩芽、気分はどうだ?」
私はお姉ちゃんの手を離した。
二人の邪魔になるまいとベットから離れる。
――――私の代わりにお姉ちゃんの手を優しく握りしめる隼也さん。

私はいつも…彼の背中を見ていた。

彼が一途に見つめる先にはいつもお姉ちゃんが居た。

彼の笑みも全てお姉ちゃんのモノ。


私のモノではなかった。

当時の私は自分がお姉ちゃんの代わりになる…そんなことは微塵も思ってなかった。

ひたすら、お姉ちゃんの病の完治を祈り、二人が幸せになるコトを望んでいた。
でも、神様は残酷で、二人の仲はお姉ちゃんの死という最悪の形で幕を引いた。

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