HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
「飲んじゃったんですか?」

「苦くて、飲めなかったんだろ?」
彼は煙草を吸いながら問いかけた。

「あ…まぁ」

「それよりも夜は何食べる?」
彼は紫煙を吐き出す。
「え、あ…隼也さんに任せます」
「俺に任せたら、ラーメンになるけどいいか?」

「ラーメン?」

「あぁ、近所にある昔ながらの古い店だ」

「いいですけど…」

「お嬢様のクセに…金のかからない女だな。瑞希は…」

「うん」
とりあえずは隼也さんのペースで合わせよう。

テーブルの上の隼也さんのスマートフォンが鳴り響く。相手は相馬先生。

「もしもし・・・高木だ」

―――相馬でーす。引っ越しは終わった?何食べに行くの?高木先生

「あ、ラーメンかな…」

―――はぁ?初めてのディナーでしょ?

隼也さんは慌てた様子で腰を上げて、私から離れてキッチンの隅に行ってしまった。

私は二人の会話が気になり、そーっとキッチンへと近づいていく。


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