HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
部屋に入ると眠っていたはずの瑞希は目を覚ました。
俺はリビングのレザーソファに彼女を座らせる。
「起きたようだな。瑞希」

「隼也さん?」
俺も彼女の隣に腰を下ろした。
「そうだ・・・」

「夢よね…?」

「夢じゃない…」

瑞希は俺の頬を抓る。

「痛いぞ…瑞希」

俺は彼女に抗議した。

「お前、久世に本気だったのか?」

「・・・私のスキなのは隼也さんよ…隼也さんに似てるから…久世さんは気になっただけ」
その言葉に俺は胸を撫で下ろした。
今でも、瑞希が想うのは俺だったんだと。
そして、今は俺も瑞希のコトを愛していた。
周囲が何と言おうと、俺は瑞希に好意を寄せていた。
何度も彩芽のコトを考え、葛藤を繰り返しながらも、瑞希のコトが気になっていた。
そう言うと彼女から俺の唇に唇を押し付けて来た。
「瑞希…お前!?」

「・・・私、ずっと…隼也さんに触れてみたかった」

俺も瑞希を静かに抱き寄せる。

俺の中で溢れる欲望がキスの先を求めていた。
「俺も瑞希がスキだ」
俺の方から瑞希の唇を奪いにいく。
柔らかで温かい瑞希の唇。
上唇を甘噛みして、そのまま軽く吸い上げて強く彼女の唇を塞いだ。
口内に舌を差し込み、歯列を舐め、隈なく味わった。
―――俺達はそのまま一線を越えた。





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