SINOBI 隠苑の国に咲く花


「本当()りないね、紫乃陽。」


手首を押さえつけられ動けなくなった少女 紫乃陽(しのび)は、悔しげに唇を噛んだ。


「離せ!」


「は?掴んできたのそっちでしょ。」


伊織(いおり)は馬鹿にしたように鼻先で笑うと、掴んでいた紫乃陽の腕をさらに強く握りしめた。


「い、痛い痛い痛い…!!」


「離してあげるから、次はもうこんなことしないって約束して。」


「や、やだね!」


腕をギリギリと締め付けられ痛みを堪えながらも強気にそう返す紫乃陽。

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