メガネをはずした、だけなのに

 走って逃げるニコルの後を、さわやか笑顔の残念系イケメン梨木くんが追いかけてく。


「あはは、まってよニコち~ん!」


「近寄らないで、ふなっし~!」


 朝から頭の中がお花畑の梨木くんが、スキップしながら軽快に追いかけてる。

 ニコルは必死の形相で、叫びながら生徒玄関に向かっていた。


 私の視線の先に、見覚えのある人が立っている。

 よく見ると、梨木くんの年上彼女さんだった。


「だいじょうぶかな……」


 親指の爪を、前歯でガリガリ噛みながらイライラした表情。

 目尻を吊り上げ、不快な表情で梨木くんとニコルを見つめてる。

 憎しみが込められた眼光鋭い視線を、鬼の形相で二人に向けていた。


 入学してから今まで、何の弊害もなく高校生活を過ごしてきた。



 でも、この騒動をきっかけに運命の歯車が動き始める……




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