メガネをはずした、だけなのに

「眼鏡同盟が、なぜゆえに校則違反なのだっ!」


 身振り手振りのオーバーリアクション、お一人様ミュージカル状態で騒ぐ相葉くん。

 その姿を見ていたクラスメイトも、また始まったぐらいな感じで受け流してた。


「綿貫くん、愛してる~!」


「えっ……」


 教室の中でクラスメイトを前に、突然そんなことを言われても……

 私は頬を赤く染め、両手で口元を押さえる。

 恥ずかしさで、胸がぎゅっと締め付けられてしまう。


 私の気持ちを無視するように、相葉くんは「らららぁ~!」と歌い踊り続けてる。

 クラスメイトも苦笑しながら、冷たい視線で見つめていた。


 残念な同級生に絡まれる、可哀想な被害者の綿貫さん。

 みたいな位置づけなので、愛してるの言葉も受け流されてしまう。


 私は胸をドキドキさせたまま、小声でつぶやいた。



「気軽に、愛してるって言葉を使わないでほしいな……」




< 92 / 184 >

この作品をシェア

pagetop