メガネをはずした、だけなのに

「えっ、賢斗くんがどうしたの!」


「クジを……引かなかった……」


「どうして?」


 隣の教室で起こった出来事なので、詳しく分からない。

 ニコルの話だと、どこのグループにも入ってないらしい。

 どう考えても納得のいく答えが出てこないよ。


 賢斗くんがクラスメイトと仲良く、炊事や山登りをするようなタイプじゃないのは分かってる。

 学校の行事に顔を出して、同級生と親睦を深めようという気持ちが無いのも知ってるけど……


「ニコルは賢斗くんに、理由を聞いてみたの?」


「うん……」


 暗い表情で頷くと、小さな声で答えてきた。


「6月の宿泊研修に、賢斗クンは参加しないんだって……」



「うそっ!」



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