LIONの許婚

小澤史郎と、同棲?

「悠里、あんたは桜祐様の嫁に
なるんだ加納家に尽くすんだぞ!」

毎日毎日刷り込まれるように
加納加納桜祐桜祐
一日も欠かさずそう言われてきた。
もう私の身内は加納桜祐しか
いないと思って、会った事も無い
桜祐を頼りにしてきた。

彼に会えばご飯がお腹いっぱい食べ
れる。
ボロボロの服じゃなく
普通の服が着れる。

拾った毛布じゃなくて
暖かい布団で眠れる。
そんな夢みたいな事を思いながら
眠りについた。

風邪を引いた時熱をだして
這い出しながら雪を集めて
おデコを冷やした!
加納家に嫁いだら病院にも
行ける、そんな幸せな夢を
見せてくれたのは未だ会った事
の無い桜祐だった。


16歳になれば桜祐が迎えに来て
この地獄から抜け出せる
そう信じてきた。

それは本当に夢に消えた
加納桜祐の嫁は悠里じゃ無かった。


御育ちの良い良家の娘
憎いけど、憎くない
色んな物を買ってくれた事は事実、
食べ物も始めてお腹いっぱい
食べさせてくれたのも桜祐
ずっとずっと桜祐と暮らすと
思っていた、コレは恋だった?のか。


そして又悠里を拾った小澤史郎は
なんの得がある?
得・・・得・・
小澤史郎が悠里と住んで得する
事を考える。

彼にも得が無いと申し訳ない。
私に出来て小澤社長の得になる事
悠里はしばらく考える。

彼の得になる事ってなんだろう。
住まわせて貰って彼が得すること?


”💡身の回りの世話”



「小澤社長、住ませて貰う代わりに
私、食費だします。
それと掃除洗濯全部やります。」


「えぇっい、いいよ(•́ω•̀;≡;•́ω•̀)アタフタ
掃除はハウスキーパーさん
頼むし、料理だって頼めるし
悠里は居てくれたらいいんだ‼」


「ん~じゃマンキッでも行きます。
ネットカフェもあるし
車中泊の経験もあるし・・大丈夫‼
心配しないで下さい。」

「ドおっこいしょ!」
悠里はキャリーバックをゴロゴロ
と押しながら小澤史郎に頭を下げ
マンションのエントランスを
出ようとした。


「ンンン~もうっ分かったよ‼」

5メータくらい前を進んだ悠里を
追いかけ
「宜しくお願いします。」
キャリーバックを引っ付かみ
そうさけんだ。

 エヘヘ
「分かりました。」
悠里は、ニッコリと微笑んだ。


「えっと、小澤社長私
プロの女じゃないですから
夜は無しで大丈夫ですよね(笑)」


「大丈夫大丈夫、
何にも出来ない女より
俺はプロ専だから安心して‼」



「です、ですよね〜
ちなみにデリヘルさんなんか
頼んだりしますか?
私、いない方がよくないですか?
その時は言って下さいね。」


「へっ
俺の下半身のしんぱいかよ。
マンションに、女呼んだ事無いから

店いくか、ホテルですませるから
安心して‼プライベートは
キチンとしてる💥💢。‼」


「あ、は、はい・・:
わかりました。」
小澤社長は多少ヤバイ男と言う事を
忘れていた。
プライベートには立ち入らない
方が懸命かな?(笑)



桜祐は悠里が出て行ったマンション
で呆然と立ち尽くした。

確かにあの時悠里より見合いを優先
してしまった。
桜祐は抜け殻の様になってしまった。

「自分は悠里を棄てた」
その罪悪感が桜祐を蝕んでいた。


それから会社を休みがちになった
両親や加納一大が喝を入れても
反応しなくなった。
桜祐が病んでしまった事は
業界を駆け抜け小澤の耳にも
入って来た。


「雪乃、どうしたもんか?
儂は間違っていたのかな‼」
一大は後悔しつつ、どうしようも
無い事を妻雪乃に愚痴る。

「さあ、どうでしょう。
桜祐も、もう少ししたら
おちつきますよ。
お医者様もそういわれてましたし。」


「もう、悠里も居なくなったし
見合いを進めるか?」


「桜祐が落ち着かないと
何も始まりませんよ。
ここはじっとまちましょう。」

雪乃の一言に一大は悩んでいた。


「小澤さん、今日は何時に
帰ります?」

悠里はマンションの下見に行く
事を決めていた。

案外近くに不動産屋さんを
見つけて来た。

何時までも小澤社長の世話に
なる訳にもいくまい。

「今日はちょっと遅くなるよ!」
小澤の返事に

「美人ぶろ?」
かときいてくる。

「ちっちげーよ。
直ぐ下半身に話持っていくなよ。

今日は友達の見舞いに行って
来るから。」

「じゃあ晩ご飯は
いりませんか?」


「は?いるに決まってる
悠里の飯食いたいから
腹減っても食べてこないから
家でいっぱい食うから飯炊いてて」


「は~い。」


小澤史郎は加納家に足を向けた

「まあまあまあ、小澤様
よくいらっしゃいました。
何年ブリかしら?」

家政婦頭の宮が雪乃と出迎える。

「桜祐が病気と聞いて
お見舞いに来ました
気分はどうですか?」


雪乃は首をふり
「まだあんまり気分は
良くないようですよ。」


「そうですか。」

桜祐の部屋に小澤史郎は案内
される。

長い廊下を歩いていけば
見事な日本庭園が広がる
もう少し進むと夏らしくひまわりが
一面に顔をだしていた。


「立派な向日葵畑ですね」

「ひまわりは桜祐の許嫁と植えましたの悠里が植えた朝顔も
見事なものですのよ。」



「そうですか‼
お祖母様」

「はい。」

「桜祐は見合いをしたと聞き
ましたが、お話はどうなってる
のですか?」


「はい、主人はこの秋に話を
進め、来年春に挙式の
予定です。」


「桜祐はそれでいいんですか?
そう言ってるんですか?」


「小澤さんは許婚の事を
仰ってるの?」


「・・・そう・・です。
桜祐は悠里の事を諦めたのですか?
病気になるほど悔いているのでは
ありませんか?」



「ああ、悠里をご存知なのね

もう、お話は止められません。
お相手が乗り気であれよあれよ
と話が本人抜きで進んで
桜祐もそれでいいと
言うんですもの、仕方ないです。」


「そうですか
実は悠里は僕が預かっています
あの日バス停で悠里は
ボロボロの猫の様に泣いて
いました。

遠目でも分かるほど

あ‼桜祐に捨てられたなと
俺にもわかりました。

悠里の乗ったバスを追いかけ
連れ戻して今俺といます。

悠里は俺のマンションで、
家政婦として仕事を
してくれています。

桜祐が悠里を手放したのなら
俺は遠慮はしません。
手を出してはいませんが
これからは自信がありません。」



「そうでしたか
あの子は可哀想な子でしてね
私も悠里が嫁に入るのは
大賛成でした。

でも悠里を育てた継母を、一大が
嫌いましてね、悠里が悪い
訳でないことも承知していますが
一大は、大反対しているのです。」


「悠里を宜しくお願いします。」
雪乃はそう言って桜祐の部屋まで
案内すると深々と頭を下げた。

小澤史郎もそんな雪乃に対し
頭を下げ廊下を歩く雪乃を
見送った。


ガラガラガラ
襖を開けると桜祐は起きていた。


「大丈夫か?鬼の撹乱か?」

「小澤か‼」

「お前、結婚するのか?」

「さすが早耳だ‼
もう知っていたか‼」

「いいのか?」
小澤は桜祐の横に胡座をかいて
座った。


「久しぶりに来たぞお前の家
相変わらず、ドデカいな‼」

「フッ、お前の実家も
こんなモンだろ!」


「まあ、そうだな」

突然ライオンの鼻に微かに悠里の
匂いがした、桜祐はハッとして声が
荒くなる

「小澤、お前か、悠里はお前が
連れて行ったのか?」

ギク
「ああ՞ ՞、バス停で拾った偶然‼」


「そうか‼」


「結婚するなら悠里は俺が
貰うぞ!いいのか?」


「結局悠里か祖父かとなった時
俺は悠里の手を離した
結局祖父を捨てられ無かった。
弱い男なんだよ。」


「フッ、脅威のライオンも
加納様には勝てなかったか‼」


「じゃあ、今日悠里を俺の
モノにしても良いんだな‼」


「・・・」


「俺もお前の為にずっと我慢して
来た、しかしお前が結婚話が
進んでるなら
・・・もういいよな!
悠里を孕ませても文句いうなよ。
それを確かめにきたんだ。」


「孕ませる。」


「自信がある。
寝ずに愛してやるつもりだ。

早くお前の刻印を消して
やりたい。」


桜祐は拳を握り震えていた。

「じゃあ、結婚式には呼んでくれ
悠里が待ってるから俺は
帰る。
今日何食べたいなんて
可愛いこというんだぜ。」


「・・・・・じゃ、またな桜祐‼」
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