毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす


ちなみに、おねだり顔のお手本は隣の家に住む三人家族の中の五歳の男の子である。


その子の可愛さについて語ると軽く一日経ってしまうためここでは割愛させてもらうが、一言で言うと天使。


隣のよしみでわりと頻繁にその子の面倒を見るのだが、とある日、一緒にスーパーに買い物に行った際に天使がお菓子コーナーで、


『お姉ちゃん、これ、買っていい……?』


なんて、小首を傾げ瞳をうるうるさせながら見つめてきたのだから、買うという選択肢しかない。


『それだけじゃなくてもっと選んでいいよ。お姉さん、君に貢ぐ気満々だよ』


と、ついポロッと口から本音がこぼれてしまったのは天使が可愛すぎるのが悪い。
天使は恐らく、私の言った言葉の後半の意味をわかっていないだろうけど。


この、可愛すぎてもはや直視出来ない……いや、直視どころか果たして私は同じ空気を吸っても良いのだろうか…?と疑問さえ抱くレベルの可愛さを持つ天使の真似をしたところで効果があるかはともかく。


代わりに受けてほしいと本気で思っているわけではないから、効果はなくてもかまわない。


ようは『私バカだからテストやだよ〜無理だよ〜』が伝わればいいのである。



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