毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす


もしもみんなが私を受け入れてくれたなら、"周りを不幸にしてしまう私"ではなくなる。


昔の自分は正しかったんだと、取り繕わなくてもいいんだと。
肯定されたような気になる。


可愛いものが好きななっちゃんや面倒見のいい凛ちゃんは、愛想のない私を見たらどんな反応をするだろう?


なんの未練もなく私から離れていく映像が頭の中で流れて、それだけで臆病な心が大きく揺れ動いた。


仮面を深く被って演じ続けてしまいたくなる。


だけど……


『君の周りはそういう温かい人ばかりだと思うんだけど……君と仲良くしてくれる人たちをほんの少し、信じてみる気はない?』


人の心を読むのが上手な水上くんが、私の周りは暖かい人ばかりだと保証してくれている。


好きな人すら信じられなくてどうするんだ。ここは、背中を押してくれる彼を信じるべきなんだ。


そして、あとは私が勇気を出すだけ。
自分を曝け出す覚悟を決めるだけだ。


『君のありのままの姿を、僕は喜んで受け入れるよ』


私を好きだと言ってくれる彼を幸せにするために。


< 176 / 207 >

この作品をシェア

pagetop