クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
 翌朝、先に目覚めたのは樹だった。

 腕の中にはスヤスヤと眠る愛しい桃華。

 今まで樹は、自分が冷めた人間だと思ってたいた。感情を剥き出しにする事も嫉妬する事も経験したことがなかった。そして、一生知ることはないだろうと諦めていた。

 突然の出会いから今日までが夢のようだ。

 現実だと確かめるため桃華を抱きしめる。眠る桃華の温もりに心まで温かくなる。

 今日が休日だったら良いのにと思いながら、現実に向き合う。

「桃華?桃華?」

「ん?うん…」初めての桃華に少し無理をさせたかなかなか目覚めない。

「桃華?仕事に行く時間だよ」

「ん。えっ⁉️」飛び起きるが、自分の格好を思い出し「キャッ」と再び布団の中へ。

「桃華、身体は大丈夫か?」

 モゾモゾと布団の中で動き確認しているようだ。

「布団の中で動かれると、朝からまた桃華を襲いたくなる」

 その言葉を聞きピタッと動きを止めた。

「樹さん、あちこち痛いです……」

「まだ時間があるからお風呂に入ってリラックスしよう」布団を剥ぎ全裸の桃華を抱き上げた。

「樹さん。恥ずかしすぎて死にそうです」

「死んでもらったら困るから慣れてくれ」

 問答無用で連れて行かれた。

 仕事に行けるまでに準備が整った頃には、更に疲れを見せる桃華だった……。

< 144 / 173 >

この作品をシェア

pagetop