クールな副社長の秘密～偶然知ったら溺愛されて妻になりました～

「今日は芦屋の老舗のベーカリーショップに行って二種類用意してもらえるように交渉を」

「まさか⁉️」

　樹も芦屋で生まれ育っている。桃華の言葉でどのお店かわかったようだ。

「樹さん、そのお店で間違いないと思います。ただ、ミキタニの方で用意できた場合はそちらを優先してもらおうと、月曜に返事をすることになってます」

　桃華が交渉した店に決定する事は簡単だが、ミスが起きた事が大問題なのだ。ミスが重大な事態を招くことを今一度認識しなくてはならない。

　二度と今回のような事がないように……。

　女性ふたりのミスだが、誰かが二度三度と確認していたら気づけたかも知れない。

「桃華、君はなんて素晴らしい女性なんだ……」樹は感極まる。

「あと一種類は月曜に行って来ます」

「ああ、本当にありがとう」

　この後、自宅にいた社長にも説明し、桃華はこのまま社とは別に動く事になった。社長からも感謝された事は言うまでもない……。