クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
不穏な影の正体
 忙しくも充実した休日を過ごした桃華は、週明けまたいつもの通りに出勤する。

 エレベーターを待っていると後ろから声を掛けられた。

「相川さんおはようございます」

「おはようございます」と挨拶を返しながら声の主を見ると、同じ部署の一つ下の後輩の美奈ちゃん。

 桃華の部署はみんな仲が良く、他の後輩にはモモちゃんと呼ばれるが、美奈だけは距離を感じる。

 桃華にだけでなく、誰とも群れる事がないイメージだ。挨拶はしてくれるが、それ以上の会話はなく話し掛けづらい。

 到着したエレベーターに、他の社員と共に乗り込み部署に向かう。

 7階で降りたのは、桃華と美奈だけだった。特に会話はない。

「「おはようございます」」と元気な桃華と大人しい美奈の挨拶が部署内に響く。

「おはよう」「おはよー」「おはようございます」あちらこちらから、挨拶が返ってきた。

 桃華の姿を見た部長が桃華に近づいてくる。

「モモちゃんおはよう。例の件で、10時からこの前の会議室に来てもらえるか?」

「わかりました」

 例の件とは、部長に相談していた件だろう……。

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