カウントダウン
こんな自分でも嫌になるほどイケてない私にも、片想いをしている人がいる。


その人はクラスで目立たない人だけど、それほど私を嫌っているようには思えない。


真面目で、優しくて、学校の成績も良い方で、イケメンっていうわけじゃないけれど、彼の笑顔は爽やかで、私の心をドキリとさせる。


できることなら、彼のことをたくさん知りたい。


誰よりも彼のことを知っている人に私はなりたい。


東野雄一。


私は彼の名前を何度も心の中で口にしている。


陰キャ眼鏡の私に好きな人がいると知ったら、クラスのみんなは私のことを絶対にバカにするに違いない。


だから私はこのことを誰にも言わない。


本心をさらけ出せば、みんなが寄ってたかって、私の心を傷つけていくだろう。


だから私は空想の世界でだけ彼と話せればそれでいい。


私だって、自分が彼と対等になれるなんて、少しも思っていないから。
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