カウントダウン
「芦田梨花……。

お前は二日以内に必ず死ぬ。

カウントダウンは止まらない」


私は忍からの死の予告を心臓が止まる思いで聞いていた。


私はその瞬間、自分が呪われる理不尽さよりも、忍から伝わってくる憎悪と怨念に怯えていたのだ。


教室では何も語らなかった忍の心の中に、これほどの恨みや憎しみが隠されていたことを私たちは知らなかった。


忍が何も言わなかったのは、忍が何も感じていなかったからではない。


忍は心の中にため込んだ感情を言葉にできなかっただけなのだ。


教室内ではちっぽけな存在だった忍なのに、今の忍は誰にも暴走を止められないほどの存在になっていた。


そして忍をこんなにも恐ろしい悪霊にしてしまったのは、宮国中学、三年二組の生徒たちだ。


私は恐怖で泣き出しそうになりながら、声にならない言葉で忍の心に話しかけていた。
< 230 / 294 >

この作品をシェア

pagetop