カウントダウン
『復讐日記』第三章
【5月29日】

私は華やかなロマンスが大嫌い。


だけどホラーや怪談は大好きだ。


華やかなロマンスはキラキラと輝いていて、私の心の中の闇を目立たせてしまうけど、ホラーや怪談が内包する絶望は、私の心の闇に溶け込んで同化していくに違いない。


ホラーの世界にあるように、人は死んでもなお、人を憎むことができるのだろうか?


心の中に巣くう恨みや悲しみや憎しみを忘れずにいられるのだろうか?


死んで、悪霊になって、人を襲ったり、呪ったり、追い詰めたり、そんなことが本当にできたら素晴らしい。


生まれてからこの年までずっと弱者であった私が悪霊に姿を変えて、みんなに恐れられる存在になれるとしたら本当に愉快だ。


私はこの『復讐日記』を書く手を止めて、そっと目をつぶり想像してみる。


死んだ私が悪霊になってクラスメイトたちを憎み続け、クラスメイトたちに恐れられているその様子を。


私をバカにしていたあいつも、あいつも、そしてあいつも、私がまとめて恐怖のどん底に追いつめてやるんだ。


そしてそのとき、私はあいつらに私の存在の大きさを知らしめてやりたい。


どうしようもなく深く底無しの絶望をあいつらに味あわせたい。


私はいつまでも負け犬のままじゃない。


私はあいつらに復讐するんだ……。
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