都合のいいふたり
涼介は牛乳を飲み干すと言った。

「お互いのプライベートには干渉なしな。」

「どういう意味?」

私には改めて、今それを言う涼介の真意が理解
できない。

「だから、昨日の夜はお互いにとって、プライベートなことだろ。今後の同居生活には持ち込まないって事だよ。」

「要は、忘れてろってことだね?」

「そうだけど、そうじゃない。俺は昨日、あゆの弱みにつけ込んだ。」

「確かに。でも、昨日の夜はお互いの利害が一致してたから。」

「お互いの利害?」

「そう、私は寂しかった。涼介は溜まってた。」

「何だよ、その言い方。俺は、あゆに申し訳なかったと思ってたのに。」

「謝られる方が嫌だよ。」

「悪かったな。とにかく、プライベートへの干渉は禁止だから。今後ともよろしく。」

そう言うと、部屋に戻って行った。

私は、水の入ったペットボトルを持って、自分の部屋に戻った。その週末は、ほとんどの時間をお互いにそれぞれの部屋で過ごした。

涼介がここへ来てから、初めてだった。
いつもは、二人でリビングにいるのに。

退屈な週末だった。
私は、涼介がここに来るまで、どんな週末を過ごしていたんだろう。思い出せないくらい、涼介との生活に馴染み始めていたのに。
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