都合のいいふたり
翌日からの涼介も、やっぱり普通だった。
私は、誰かと見間違えたのかもしれないとさえ、期待してしまう。

そして、週末の夜、涼介はいつも通りに私を抱いた。
これが最後の夜かもしれないと思うと、涙が溢れた。

涼介が私の涙を見て、驚く。

「あゆ、どうしたの?何かあった?」

「ううん、大丈夫だよ。目にゴミが入ったのかも。」

「それならいいけど、あゆ、最近元気ないからちょっと心配。俺、明日は朝から用事があって、一日、家にいないけど、大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ。私、子供じゃないし、ずっと一人で暮らして来たんだもん。体調の悪い時は病院も行くし、寝てれば治るから。」

「明日の予定は外せないから、一緒にいれなくてごめんな。」

明日はあの人と会うのかな。
それなら、優しい言葉なんて要らないのに。

「私、今日は自分のベッドで寝るね。涼介、明日の朝早いなら、その方が私もゆっくり寝てられるし。」

「分かった。身体辛くなったら、いつでも起こしていいからな。」

「ありがとう。お休みなさい。」

優しくされるのが今日ほど辛いことなんてなかった。
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