藍先輩の危険な溺愛レッスン。
「あっ」


私ったら彼の手をがっちり掴んで全然離そうとしてなかったみたい。


「ごめんなさい、わっ、手汗も」


見れば私の手は汗ばんでいたから恥ずかしい。


「いいよ、気にしないで」


「でも、ちょっと待ってくださいね」


巾着からハンカチをとりだして手早く彼の手を拭いてあげた。


瑠夏ちゃんはそんな私達を微笑ましそうに見ていた。


「じゃあね、愛菜ちゃん。楽しんでおいで」


そう言って私の頭を撫でる先輩。


「はい」


彼は最後に瑠夏ちゃんにもじゃあねって言うと踵を返した。


だけどさっきの余韻が残っているせいか、先輩と離れてしまうのがちょっと寂しい。


彼の背中をぼんやり見つめてたら瑠夏ちゃんにクスッと笑われた。


「愛菜ったら、そんな顔したらバレバレだから」


「え?なにが?」


私って今どんな顔してるのかな?

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