藍先輩の危険な溺愛レッスン。
あっという間のことで「瑠夏ちゃん」って声をかけるだけで精いっぱいだった。


どうしよう追いかけなきゃ。


だけど、いま本当に瑠夏ちゃんに必要なのは。


呆然と立ち尽くす中島くんに詰め寄った。


「中島くん、なにしてるの。早く追いかけて」


「あ……俺、でも」


彼は顔面蒼白。


まずいことを言ったと自分でもわかっているみたい。


「早く行って」


「でもまた俺が行ったら泣かせるだけだし」


「中島くんのバカ、瑠夏ちゃんにひどいこと言わないで」


彼の煮え切らない態度についついカッとなった。


「でもあんなのいつも言ってるようなことだし……」


「違うでしょ、ばか、ばか、鈍感」


「佐倉さん落ち着いて」


杉本くんが怒りで我を忘れている私をなだめようとした。


もう男子ってこれだから。


どうしようもないよ。


中島くんて思っていたよりもずっと不器用なタイプなのかも。


「とにかく早く追いかけて、謝って」


「わ、わかった」

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