藍先輩の危険な溺愛レッスン。
杉本くんはそう言ったけど私は中島くんだけに任せられないような気がして不安。


「でもまた喧嘩になってそう」


「いや、中島だってそこまで馬鹿じゃないでしょ」


「そうかなぁ」


あの二人って顔を合わせれば喧嘩ばっかりだしな。


「とにかく、行こう」


杉本くんはまだ手を繋いだままだったので、私を引っ張ってまた歩き出そうとした。


「ああっ、ちょっ、待って。佐倉さん」


杉本くんは慌てふためいたような声を出す。


「あれ、あの人佐倉さんの……」


「えっ」


彼が指さした方を見たら混雑している人込みの中に藍先輩の姿が見えた。


大行列のりんご飴のお店付近にいる。


しかも隣には浴衣を着た女の人がいて……。


「あ」


そんな……。


クラスメイトとお祭りをまわっているとは言っていたけどあの人と一緒だなんて。


確かにクラスメイトって言葉に嘘はないけど。
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