藍先輩の危険な溺愛レッスン。
「ごめんなさい、通してください」


ぎゅうぎゅうのすし詰め状態に込み合っているけど、声をかけながら前に進んだ。


蒸し暑くて汗が身体中にまとわりつく。


下駄で走ったせいか足も痛い。


それでも、藍先輩に今すぐ会いたくて一生懸命走った。


「あと1分で花火があがるって」


「楽しみだね」


後ろを歩く人たちのそんな会話が聞こえてくる。


早く、急がないと。


焦ってまた駆け出したら前を歩いていた大きな背中にぶつかってしまった。


「いって」


身体の大きないかつい感じの男の人に睨まれた。


「ごめんなさい」


「なんだよいてーじゃんか、お、女」


「待てよ、この子すげー美人」


連れの男の人も振り返って私をしげしげと見つめる。


「彼女1人ぼっちじゃん。俺らと花火一緒に見ない?」


「お、それいーな」
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